- 連載 -
第1回 「知事の土俵入り、待った!」
小山美穂
 東京で作られているテレビ番組で大阪のこと放送するゆうたら、食いだおれの派手な看板とか、お笑い芸人のガラ悪い大阪弁とか、がめついとか、極めつけはセクハラ知事のこととか、あんまりいいイメージのもん、ないでしょ。それだけ、大阪のことを含めて、地方のニュースは東京に伝わりにくいと思うんです。
 今日は、ちょっとでもほんまの大阪を知ってもらいたい思て、厚かましくもこの頁をお借りしに来ました。けど、大阪の女は、私みたいな厚かましい人ばっかりとちゃうから、誤解せんといて下さいね。
 昨年、大阪で全国初の女性知事が生まれましたよね。太田房江さんは優秀な人やし、前知事がえげつないことして辞めはっただけに、「今度こそは」てみんなから期待されて、大変やと思います。私も、最初から太田さんを応援してきました。

 そやけど、大相撲の表彰式で自分が土俵に上って知事賞を渡したい、て日本相撲協会へ何べんも申し入れはったんは、あかんと思う。私はお相撲さんの大銀杏を見ただけでも四股名がわかるぐらい、子供の頃からの相撲通です。相撲の土俵が女人禁制なんは、女性差別でも女性蔑視でもなくて、古くからの「しきたり」です。それに、お相撲さんは若い人でも、ものすごい「げん」をかつぎはるでしょ。理屈では説明でけへんけど、これは特に勝負師にとって、ほんまに大事なことやもんね。

 知事は、直径がたった4mそこそこしかない土俵に、いろんな人の反感をかいながら上ってどうしはるつもりやろ?今、大阪は不況で大変やねんから、そのエネルギー、もっと他のことに使うてほしいわぁ。
 最近読んだ本によると、男性と女性は脳の構造も違うらしいから、全部を同じにするのは無理。逆に、男と女が違うから、喧嘩したり惹かれ合うたりしながら、この地球上で共生するのが面白いねんね。それに、大阪の発祥は商人の町やったからか、今でもだいたいの大阪の人は、人の感情を損ねてまで不条理を追及したりせえへんと思います。そやから、知事が土俵に上って喜ぶ女性は、大阪にはそんなにいてないと思います。

 太田知事が日本で最初の女性知事として、ほんまに大阪を良うしてくれはる気ぃやったら、大阪気質の懐の深さを取り入れて、女性ならではの細やかな感性を生かして、「はぁ、さよか。ほんなら土俵ぐらい、男の人だけの場所、残しといたげよ」ていうぐらい寛容になって、男女が楽しく共生できる町にして欲しいなぁ。

ほな、さいなら。 (March 2001)



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